さっぱりした関係

五作の両親は離婚しとるのだけど

離婚後も普通に連絡とるし

母は嫌がるけど正月は家で過ごすし

買い物連れてってーとか

カニ買ってーとか

おやつ買ってーとか

なんかのときの送り迎えとかしてくれたり

とにかく父が奴隷体質というかお人よしなんだけども

そういうのを母が友人に話したりすると

ぎょぎょっとされるそうで

私も友人にお父さんが送ってくれるんだよねー

とか言うと、知ってる人はあ、へえ

みたいな、なんか気をつかった感じになる。

なんかこき使ってるように感じるけど

まあ、普通に会話するし、普通にバカ話するし

とにかく普通の家族って感じなんだ

なんで離婚したの?と聞かれることもあるそうなんだけど

そうじゃないんだよね、と彼女は言う。

別に憎んでるわけじゃないし、あの人は普通にいい人だし

あんたたちの父親だから。

夫婦にはなれないけどね、ああいう男は嫌いだから。

と言う。

むしろ離婚したからこそ、普通に接することができるんだそうで。

うーん。

なんとなく分かるよ、お母さん。

子ども作ることができたんだから、昔は少しでも好きだったわけだよ、たぶん。

そういう人を心底憎むということはできないよね。

だって好きだったんだもん。

そういうところはがっつり母親似だなあ、と思って

ということは

いわゆる結婚生活は絶対無理なんだな、と

軽く絶望しましたが、それはいいとして。

でもね

正直なところ

五作ちゃんが病気になってなかったら

父とはもっと疎遠だったと思う。

兄の結婚式に呼ばれることもなかったんじゃないかな。

父だけじゃなく

家族全体がもうすこし、お互いを思いやることなく

冷やかに日をすごしていたと思う

あの時、あの年で私が病気になったことは

この家族にとってまさに奇跡といえるなあ、なんて

ちょっとだけ自分が誇らしく思えるんだよね

そして私でよかったなと。

病気になるのが他の人だったら、またちょっと違っていたんだろうなと。

神がかってると思う、この人選は。

こんなに愚かで醜い私たちなのに、見えない何かが守ってくれているようだ

そう思うと嬉しいね。

それに、もっとちゃんとしなきゃと思えるね。

あ、仕事しよう。

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